宅地建物取引主任者と宅地建物取引士の違いは?不動産売却のためのマメ知識

   

宅建物取引主任者が2016年に変更され宅地建物取引士となりました。名称が変更されただけで大きな違いはありませんが、新しい法律になるとともに有資格者の責任や義務について言及されています。今回はそんな宅地建物取引士について書いています。

宅地建物取引士とは

宅地建物取引士(以下、宅建士)とは不動産取引にかかわる法律を熟知し、専門知識を使って公正な取引をサポートをするための国家資格のことです。

1957年に不動産開発や取引が大きく動き出しはじめ、不動産取引に関する人材が必要になってきた時代にあわせて作られたのが宅地建物取引士(宅地建物取引員、宅地建物取引主任者)の制度です。

宅地建物取引業者(不動産屋)は、宅地建物取引業法によって一定の数の宅建士を置くことが定められています。

設置する宅建士の人数は事務所の規模によって異なりますが、最低でも一人以上は設置しなければいけません。

ちなみに不動産会社の事務所に宅建士を設置するのはもちろん、街中でみかけるマンションのモデルルームなどにも宅建士を設置する義務があります。

宅地建物取引士の業務内容

不動産売買や賃貸の契約時に行う重要事項説明と重要事項説明書への記名押印は、宅建士のみが行える手続きです。

宅建士の資格を持っていないものがすることはできません。

不動産の取引はとても高度な知識を必要としますが、その知識を持っていることが証明されているのが宅建士ということになります。

不動産開発や取引が大きく動き出し、早急に不動産取引に関する人材が必要になってきた時代にあわせて作られたのが宅地建物取引士の制度です。

制度開始時の名称は宅地建物取引員

宅地建物取引士の制度がはじまったのは1957年。当時の”建設省”が開始した国家資格制度です。

1950年代後半といえば戦後復興が進み1956年の経済白書に「もはや戦後ではない」と書かれているとおり、1973年まで続く高度経済成長期のはじまりを迎えた時代です。

日本史上誰も経験をしたことがない経済成長のなかで、不動産売買も好調に推移することになりますが、景気がよくなりお金が集中すれば、悪事を働いたり強引な取引を行うものがでてくるのが世の常です。

不動産取引量が増えるぶんトラブルも多くなってくるのに合わせて、法改正が行われ”宅地建物取引員”の名称が変更されることになります。

宅地建物取引員から宅地建物取引主任者へ

1965年の法改正によって”宅地建物取引員”という名前が”宅地建物取引主任者”という名称に変更されました。

高度経済成長期まっただなかの日本では不動産取引がふえ、それとともに悪質な取引業者の活動もめだってきます。不動産の取引を健全なものにするための一環として名称変更がおこなわれました。

悪質な行為や質の悪い業者を減らすべく、宅地建物取引業法は幾度となく法改正をしていますが、不動産を扱うものの責任をより明確にして名称の変更することで、業界の向上、取引の安全性を高めようとしました。

宅地建物取引主任者から宅地建物取引士へ

1965年に名称が変更されて以降、宅地建物取引主任者に対しての細かな法改正はあったのもの、名称は変わることなく使用され続けました。

宅地建物取引主任者と改名されてから49年後の2014年の法改正により、宅地建物取引主任者の名称を宅地建物取引士という名称に変更になりました。

名前を変えただけではなく、宅地建物取引士の責任を明文化し、信用を落とす行為が無いように努めるよう定められています。

名称を変更するとともに責任や義務が重くなる

宅建士に名称変更されたことによって、弁護士、司法書士、税理士、会計士などにならんで”士業”の仲間入りになったわけですが、それにともなって宅建士の責任も重くなっています。

宅建業法の改正によって宅建士に名称が変更されたわけですが、同時に宅建士の義務や責任についてもいくつか変更、追加されています。

変更1・暴力団員として認定された場合、宅建士の資格を得ることができなくなりました。また暴力団を辞めていても、辞めてから5年が経過していない人は宅建士になることはできません。

変更2・宅地建物取引主任者から宅建士という”士業”に変更されることによって、今まで明文化されていなかった業務処理の原則が明文化されました。宅建士は公正かつ誠実な業務処理を行い、宅建業に関連する業務関係者と連携することが記載されています。

変更3・宅建士として宅建士の信用失墜行為の禁止や知識技能の向上が追加されました。かつて不動産取引の現場では、悪質な行為が平然と行われていた時代があります。今現在もゼロになったわけではありませんが、宅建士がルールを守り、知識の向上を務めることで業界全体の信用をあげ透明性のある取引現場を作りあげることが可能になります。

宅地建物取引士に関連する項目としては以上が主な変更点ですが、今回は関係がないので触れませんが、宅地建物取引業者に対する変更や追加もいくつか行われています。

宅地建物取引士なら信用できるの?

今のところ試験の難易度に変化はないので、以前の宅地建物取引主任者と変化はありません。

しかし晴れて士業のひとつとなった宅地建物取引士ですので、以前にもまして信頼を寄せるかたは増えるでしょう。

宅地建物取引士を持っていないよりはいい

宅建士はお客さんの信頼にこたえるために、常に努力をしてクリーンな取引をすることが求めらるようになりました。

不動産の購入や売却をするときには、信頼できる宅建士に依頼したいと思うのは当然でしょう。

しかし宅建士の資格の有無と、信頼性の有無は関係ありません。

資格を持っていないよりかは、持っていた方が安心できますが、宅建士だからといって盲信してしまうのは危険です。

肩書だけで信用してしまうのは危険

これは宅建士だけにいえることではありませんが、肩書だけを信じてしまうのはとても危険です。

資格は悪い意志をもった人間でも取得することができます。むしろ、資格という絶対的な肩書の威力をいかんなく使うことでしょう。

宅建士の資格はあくまでもひとつの指標として、資格の有無だけで判断せず誠実さ、知識の深さ、ユーザー目線での接客といったことの気を付けながら宅建士を選ぶようにしましょう。

宅地建物取引士に関連する資格

資格だけで判断するのはよくありませんが、宅建士のほかにどんな資格を持っているかで仲介担当者の力量を判断することができます。

信頼できる不動産仲介をさがすときには、宅建士がほかにどのような関連資格をもっているのかチェックしてみてもいいでしょう。

宅建マイスター

不動産流通推進センターが実施している宅建マイスターは、宅建士の上級資格として位置づけられています。

宅地建物取引のエキスパートとして、取引にかかわるリスクやトラブルの芽を予測し、丁寧な調査を行い契約を取り仕切る役割を果たします。

5年以上の実務経験が必要ですが、不動産流通実務検定600点以上であれば5年未満でも受けることができます。

宅建士の上級資格として位置づけはしていますが、宅建士の合格率が10%台中盤なのに対して、宅建マイスターは40~50%ほどと取得のハードルでいえば圧倒的に宅建士のほうが難しいです。

公認不動産コンサルティングマスター

こちらも不動産流通推進センターが実施している資格のひとつです。

公認不動産コンサルティングマスターは不動産に関する広範囲の知識を活用し、不動産に関する幅広いニーズにこたえるための資格になっています。

宅地建物取引の観点だけではなく、不動産の有効利用、取得、管理、相続、投資についてのアドバイスできることを証明するものです。

ファイナンシャルプランナー

現在ではメジャーな資格となっているファイナンシャルプランナー。

家計管理や老後の生活設計、教育資金、住宅資金、年金、保険、税金、相続といった生活に密接にかかわるお金について相談できるがファイナンシャルプランナーです。

不動産とお金は切っても切れない関係にあります。ファイナンシャルプランナーの知識は、不動産取引を行うものにとって心強い味方となるはずです。

資格は仲介担当者を選ぶときの参考にできる

資格の有無は不動産仲介の担当者を選ぶときの参考になります。

何度か書きましたが資格を持っていれば信頼できる営業マンとは限りませんが、それなりの努力をしないと取れない資格ばかりです。

少なくとも最低限の知識は持ち合わせているので、営業マン選びの一つの基準することができます。

そのなかでも宅建士の資格については、最低限の条件と考えて間違いありません。

一般的な不動産仲介会社では、宅建士の試験近くには営業マンに仕事をさせず試験対策に専念させます。

それにも関わらず宅建士の試験に落ちてしまうのは、本人の努力不足による影響が大きいと思われます。

わずか数カ月の努力もできない人間に、自分の大切な不動産を任せるわけにはいきません。宅建士の資格を持っている方を最低限のラインにして、そこから信頼できる不動産仲介をさがしてみましょう。

まとめ

宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に名称が変更になったことによって、宅建士の業務責任がより明確になりました。

不動産を売却する際には不動産仲介に依頼することになりますが、どういった担当者がつくかは取引の行方を大きく左右します。

宅建士の資格を持っているのは最低限の条件として、経験・信頼のできる担当者と出会うまで妥協せず、徹底的に比較検討することが不動産売却成功の秘訣です。

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