『かぼちゃの馬車』のビジネスモデルと問題化に至るまでの経緯をわかりやすく整理してみた。

   

株式会社スマートデイズが販売・管理を行っている『かぼちゃの馬車』が社会問題になっています。わずか4年ほどの間に800棟の女性専用シェアハウスを展開していたのですが、いったいどのようなことが起こったのか?問題点や同様の被害にあわない方法はあるのでしょうか。

かぼちゃの馬車のビジネスモデル

私は建売の用地仕入れが専門だったので、不動産投資系の話にはあまり詳しくないのですが、かぼちゃの馬車がニュースになっていたので興味が湧いて調べてみました。

知識は不動産投資の専門家には遠く及びませんが、一般の方と同じ目線で分からないことを調べていったので、スマートデイズが行っていたビジネスモデルの大枠を理解したり、問題点を理解したりするには十分な内容になっているはずです。

女性専用のシェアハウス販売

『かぼちゃの馬車』というのは株式会社スマートデイズが建築・販売・管理をおこなっている女性専用のシェアハウスです。

土地の仕入れから建物の建築、販売後の管理・運営をスマートデイズが一手に引き受けています。

土地の仕入れから一気通貫してスマートデイズがかかわっていますが、シェアハウス自体は途中で一般の方(オーナー)に売却します。

オーナーとスマートデイズはサブリース契約を交わし、オーナーは保証された賃料をスマートデイズ側から受け取ることができます。

オーナーとなる方は受け取れる賃料を見越して、金融機関から融資を受けてシェアハウスを購入します。

レオパレス21も同じビジネスモデルで展開していますが、そちらも問題になっていますね。

かぼちゃの馬車のサブリース

かぼちゃの馬車では賃料より高いサブリース賃料がオーナーに支払われる契約になっていたようです。

ここで少しサブリースの説明をしておきます。

サブリースというのは管理・運営会社がオーナーに向けて賃料を払う仕組みになっている契約のことです。

一般的に家賃というのは、借りている人がオーナーや大家さんに支払うものですよね。

しかしサブリースの場合は大家さんと借主の間に賃料支払いの義務はありありません。その代わりに借主は管理・運営している会社に賃料を払う契約になっています。これがサブリース契約の仕組みです。

今回のケースでは借主はスマートデイズに賃料を払います。それとは別に、スマートデイズはオーナーに対してサブリース賃料として30年間賃料を保証する契約をしていました。

話を戻しますが『かぼちゃの馬車』ではこのサブリース料が賃料より高く設定されていました。

つまり賃料が50,000円だったとすると、サブリース賃料が60,000円で契約されていたりするわけです。

毎月の賃料を差し引きすると、スマートデイズ側は赤字になっていきますし、空室保証も設定されているはずなのでどうみても利益がでるはずがありません。

このままではどうみても慈善事業になってしまい会社が継続するのは不可能です。そこで別のキャッシュポイントを作って、賃料の差額を埋める仕組みを作っていました。

かぼちゃの馬車はどこで儲けるつもりだったのか

かぼちゃの馬車の賃料とサブリース賃料のバランスがとれておらず、賃料だけでは事業を継続していけないのは一目瞭然です。

当然別の方法で利益を確保しようとしていたのですが、その方法が今回オーナーの被害が大きくなってしまっている原因につながっているんです。

土地・建物価格を相場より高く設定

かぼちゃの馬車では賃料(借主→スマートデイズ)よりも、サブリース賃料(スマートデイズ→オーナー)のほうが高く設定されており、賃料の差額では利益がでないことはすでに書いた通りです。

ではどうやって利益を確保していたかというと、オーナーにシェアハウスを売るときに、近隣の相場よりも明らかに高く売却していました。

つまり賃料差額でマイナスになっても困らないように、売却時に利益を大きく上乗せしてオーナーに販売していたんです。

相場より高い設定でなぜ融資を受けることができたのか

相場よりも明らかに高い価格設定なのに、オーナー希望者が購入できた理由は融資が通ったからでしょう。

今回の『かぼちゃの馬車』騒動で問題になっているのは運営会社のスマートデイズだけではありません。

実はオーナーへの融資はほとんどのケースでスルガ銀行が行っていたと報道されています。

銀行をはじめとした金融機関は、アパートなどの収益物件の融資をする際には厳しい審査を行い、明らかに相場より高い物件であれば、返済困難になる可能性が高いので融資の決裁がおりることはありません。

かぼちゃの馬車とスルガ銀行の関係はよくわかりませんが、800棟近くある収益物件のほとんどの融資をたった一社の銀行が独占しているのはあまりにも不自然です。

与えられた事実から推測すれば、スルガ銀行が積極的にかぼちゃの馬車案件に取り組んでいたのは間違いなさそうです。

物件を増やし続けないとキャッシュがまわらない

トータルの賃料だけでは利益がでない仕組みになっているので、スマートデイズは次から次へとシェアハウスを建てて売却する必要があります。

売却時に大きく利益を確保する仕組みですから、かなりのスピードで増やし続けないと、あっという間にサブリースの負担に潰されてしまいます。

誰がみても長く続かないビジネスモデルであったため、かなり以前から問題になっていたようですが、ここへきて大手メディアが取り上げるようになり社会問題として明るみにでてきました。

かぼちゃの馬車システムが破綻した原因

2017年10月スマートデイズはかぼちゃの馬車のサブリース賃料の変更をオーナーに通知。そして年が明けた2018年1月にはサブリース賃料の支払いが困難なことを明らかにしています。

事実上『かぼちゃの馬車』のビジネスモデルは崩壊、シャアハウスのオーナは賃料を受け取ることができないうえに、高金利のローンが重くのしかかってしまうという事態になっています。

金融機関の融資がストップ

今回の崩壊の引き金となったのはスルガ銀行が融資をストップしたために一気に問題が大きくなっていきました。

すでに説明したとおりですが『かぼちゃの馬車』のビジネスモデルでは、物件を増やし続けない限り必ずいつか崩壊します。

崩れていく橋から全力で逃げているような状態です。

金融機関が融資をストップすれば、すぐに収益構造は悪化するのは目に見えていました。

スルガ銀行としても大半の融資を引き受けていたものの、今回のビジネスモデルの危うさに気づき、一気に撤退したということでしょう。

物件オーナーに落ち度はなかったのか?

物件オーナーは相場より高く土地と建物を購入しているので、物件を売却するとしても、残債が相殺できる金額ではまず売れないでしょう。

金利の高いフルローンを組んで、毎月100万以上の返済を強いられているオーナーの方もいるようです。

あてにしていたサブリース賃料が入ってこないので、すべて自腹で支払わなければいけませんから、その負担たるや相当なものです。

オーナーの方たちの間で被害者の会が結成され、顧問弁護士の対応にむけた協議をはじめているようです。

今回はスマートデイズだけでなくスルガ銀行にも問題があったのではとの憶測もありますので、今後の展開も見守っていく必要がありそうです。

同様の被害にあわないために

今回の『かぼちゃの馬車』のビジネスモデルはあきらかにおかしいですし、リスクが大きすぎます。

スマートデイズという会社がどれだけ信用のおける対応をしてくれたとしても、相場より明らかに高い物件を高金利のローンで購入するのは極めて危険です。

サブリースの収益物件については今回の『かぼちゃの馬車』だけでなく、他にも問題になっているところが少なくありません。

そもそも30年の賃料保証があるといっても、運営会社の一存で賃料を変更されてしまうような契約では”賃料保証”の意味がありません。

今回の件では経済的に恵まれた職業の方が多く被害に遭っているようで、スルガ銀行からのなんらかの紹介みたいなものがあったのかもしれませんが、それにしても危険性については築くべきだったと思います。

サブリースの仕組み自体を否定するわけではありませんが、購入前にはかならずシミュレーションして、物件の価値や将来性をしっかり考えてから決断しましょう。

まとめ

被害者の方には気の毒ですが、今回の件でサブリースの危険性が広がっていくことになればいいですね。

もちろんサブリースによって安心して物件を購入できるという側面もあるので、一外にサブリースの制度が空くという単純なことではありません。

しかし制度を理解して物件を選ばないと、今回のような問題に巻き込まれてしまう可能が高いです。

これからの時代は不動産が余っていく時代ですから、不便な地域や不人気地域の不動産の価値はどんどん落ちていきますし、そのような地域にある賃貸物件をわざわざ借りる人は少ないです。

余裕があって数億円ぐらいの損失だったらしかたない…と割り切れるならリスクをとって攻めてもいいですが、失敗したら自己破産をしてしまうような物件の買い方はあまり賢い方法とはいえませんね。

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