完成前のマンションを売却できる?

2017/07/08
人気が高い地域の新築マンションでは、完成前に全部屋が完売してしまうこともめずらしくありませんよね。
完売までいかなくても南向きの部屋や角部屋など、人気が手中する部屋が完成前になくなってしまうのはあたりまえです。
しかし緊急な事情があってマンションの引渡しを受けられなくなってしまったら、完成前とはいえ売却することは可能なのでしょうか?
ネットなどで検索すると『手付解除する以外に方法はない』といったことが多く書かれていますが、本当にそうなんでしょうか?
新築マンションは完成前売買契約が当たり前
ほとんどの新築マンションは未完成の状態で販売が開始されますよね。
人気の高い地域のマンションでは豪華に装飾されたモデルルームに大勢の人が内覧に訪れます。
その結果、マンションの完成前に完売御礼がでることも珍しくありません。
ただマンション建築は、長期間に渡るため引き渡しまでにしばらく時間がかかります。
とくにタワーマンションでは数年先になってしまようなこともあります。
人生はどんなことがあるかわかりません。
その間に家庭環境が変わってマンションが不要になってしまったり、経済的な変化により購入が難しくなってしまうこともあるでしょう。
そういったときにまだ引き渡しを受けていない状態で、他の人に売却することは可能なの?
といった疑問がでてきます。
完成前のマンション売買は法律的には可能!
完成前ということは所有権はまだ売主側にあると考えれます。
しかし所有権がまだ売主にあっても、契約して手付金を払った状態であればそのマンションを転売することは法律的には問題ありません。
他人の権利を売買することを他人物売買というのですが、これは民法560条、561条で定めてあり法律上まったく問題のない行為なんです。
「他人の物なのに売買できるの?」と思うかもしれませんが、民法ではできることになっているんですね。
むずかしい説明は抜きにして、民法上ではOKだと理解してもらって大丈夫です。
そのかわり新築マンションを買った人は、売主から権利を取得して新しくマンションを買ってくれる買主に所有権を移転する義務を負います。
もし移転ができないとき新しい買主は契約を解除することができますし、新築マンションを購入して転売するはずだった人に損害賠償請求をすることも可能です。
買主と売主の入れ替わりがあるので、ちょっとわかりにくいかもしれませんね。
例を使って説明していきます。
たとえばAさんはZ建設(他人)と完成前の新築マンションについて売買契約をしたとします。
しかし完成前にAさんの会社がつぶれてしまい、資金的にマンションが買えなくなってしまいました。
Aさんはしかたなく、未完成のマンションをBさんと売買契約(他人物売買)を結びました。
この時点ではまだ所有権はZ建設です。
他人物売買においてAさんはZ建設から所有権を得て、Bさんに権利移転する必要があります。
そのためAさんからBさんへの引き渡しは、Z建設のマンションが完成しAさんが引き渡しを受けた後になります。
契約自体はマンションが未完成でも可能ですが、引き渡しはマンションの完成後になります。
このように民法において契約前にマンションを売却することは全く問題なく、マンションの完成前や引き渡し前に売却することは可能といえます。
ただし契約書に注意!
法律上問題がないのはさきほどの説明のとおりです。
ところが現実的に考えたとき、マンション完成前に売買できるかできるかどうかという問題はあります。
新築マンションでは完成前の転売を禁止している場合があります。
これは転売目的で購入する人を防ぐ目的があります。
人気が集中する物件では転売目的の購入者ばかりになってしまい、抽選倍率がものすごいことになってしまいます。
そのような事態を防ぐために、新築マンションの売買契約書には転売禁止の文言が盛り込まれていることがあります。
契約書に書いてある以上、現実的に売買するのは難しいかもしれません。
それでは新築マンション完成前の売買が行われていないのかというと実は内々で行われていることは少なくありません。
実際に他人物売買で転売しているひとは存在していますし、引き渡し自体は完成後になるので問題になることは少ないかもしれません。
しかし契約違反が発覚すると高額なペナルティがおこることも十分にありえるので、仲介業者に事情を話してすすめていくのが現実的な方法といえます。
もしあなたが契約した完成前のマンションを売却したいと考えたら、まず契約書をチェックしてみましょう。
契約書に転売禁止の文言がなければ売却にだすことは問題ありませんので、仲介業者に相談してみましょう。
まとめ
売買契約をして手付金を払った新築マンションでも、他の人に売却することは民法上なんの問題もありません。
しかし契約書に転売禁止の文言があるときに転売を実行すると、高額なペナルティを課せられる可能性があります。まずは契約書を確認してみましょう。
どうしても売却せざるを得ない事情があるのであれば、仲介業者に相談しましょう。