マンションに欠陥があっても売却して大丈夫?

2017/07/04
欠陥があっても売却は可能!ただし…
長年マンションに住んでいれば、何かしらの欠陥がでてくることも珍しくありませんよね。
壁紙のはがれ、給排水管の痛み、室内ドアの破損、壁のひび割れ等々、大なり小なり必ずでてくるでしょう。
そのような欠陥があるマンションだって、売却することには全く問題もありません。
極端な話ですがマンションが傾いていたとしても、不動産の売却をすること自体に問題はないんです。
ただし売買を成立させるためには、それなりの事前説明をして買主に納得してもらっておく必要があります。
マンションが傾いていることを買主が承知の上で『それでもいいから買う!』という状態にしておけば、問題なく売買契約をして物件を引き渡すことができるんです。
売主には説明する義務がある
民法の解釈では売主には『信義則に基づいて説明する義務』があるとされています。信義即とは『相手方の信頼を裏切らないよう行動すべき』であるという法律の原則です。
つまり『ウソをつかず、知っていることを誠実に説明する義務』という意味ですね。
傾いたマンションの例でもう一度考えてみたいと思います。
売主はマンションが傾いていることを知っている状態です。
しかし口頭や契約書上で、一切そのことを説明せず買主にだまって契約をしたら『誠実』とは言えませんよね。
そして買主が「傾いていることを知っていたら購入しなかった」ということであれば、買主を保護してあげるべきでしょう。
ただし、さすがに傾いたマンションは買主も内覧時に気づくと思いますので、実際には売主ばかりの責任とはならないかもしれません。
あくまで例として考えた場合ですが、民法上において売主は知っていることを説明する義務があるということです。
売主には瑕疵担保責任がある
売主が誠実に知っていることを説明し買主に告知したとしても、売主が知らないもしくは気付かなかった欠陥ということもあり得ますよね。
売主がどれだけ気を付けていても、知らなかったであろう欠陥(瑕疵)が発生しているときでも売主はその責任をとらないといけないのでしょうか?
例えば配管が壊れていたとします。
しかし通常配管は壁の中にあり、普通に暮らしていればどんな状況を知る方法はありません。
売主が住んでる間に水漏れなどの症状があれば気づくことができますが、外に現れる症状がなければ売主が気付くのは不可能です。
そういった発見できないような欠陥があっても、マンションを売却することに問題ありません。
しかしそれでは買主のリスクが大きく、購入を躊躇してしまう可能性がありますよね。
そこでマンション(不動産)の売買には瑕疵担保責任というものがあります。
瑕疵担保責任は売主が知りえなかった欠陥(瑕疵)があった場合でも、ある一定期間の間は売主が責任を負うという約束です。
ただし無制限、無期限で瑕疵担保責任を売主に負わせるのはあまりにも売主の負担が大きすぎます。
そこで一般的な中古マンションの売買では瑕疵担保責任を負う箇所と期限に区切りがあります。
瑕疵担保責任を負う項目としては、雨漏り、シロアリ、給排水管の4か所となっています。期間は引き渡し完了日から3か月程度が目安となっています。
物件状況報告書
このほかに実際の契約では物件状況報告書といものを取り交わすことがあります。
物件状況報告書とは実際に売主が生活していた時の状態を記載する書面です。
雨漏り、シロアリ、給排水管などの項目以外にも室内設備の状況、周辺環境、騒音状態、近隣の建築計画などを記載して報告する書類です。
欠陥の内容を含め、こういった書面を『誠実』に提出することで売却もスムーズに進みますし、今後のトラブルを防ぐことにもつながります。
※イメージ参考:http://www.interq.or.jp/japan/office-s/index.html
まとめ
欠陥があるマンションでも売却することは可能です。ただし、どのような欠陥があるのかを正しく説明しましょう。
欠陥を故意に隠して売却した場合、その契約が無くなるだけでなく損害賠償請求の可能性もあります。
そのようなトラブルにならないためにも、欠陥については誠実に説明するようにしましょう。
通常の生活で起こるような壁の傷や日焼けなどは欠陥にはあたりません。
どこまで買主に説明するべきかの判断は法律上でも難しい範囲ですが、仲介業者と相談しながら決定していくと良いでしょう。