マンションを売却したら支払い済みの修繕積立金や管理費は戻ってくる?

子豚と木造の家のクレイアート

      2018/01/12

修繕積立金や管理費の支払いは、マンションを所有している人が支払うことになっています。所有者がかならず払う修繕積立金や管理費は、マンション売却時に返還してもらえるのでしょうか?

払った修繕積立金は戻ってこない

マンションに限らず建築物は築年数を重ねていけば必ず老朽化していきます。外壁、廊下、外灯、防水処理など劣化を経年による劣化を免れることはできません。

経年劣化や一部の破損状態を放っておけば、マンションの価値は落ちていく一方で所有者の財産価値を脅かしてしまいます。

マンションの維持管理がおろそかになれば、敷地内・建物内での事故の危険性も増えていき、住人に被害が及んでしまうこともないわけではありません。

戸建の住宅なら所有者が自分で費用をだして修繕すればよいですが、マンションのような区分所有建物で個人で修繕するのはあまりに不公平です。しかも大型の建築物のため本格的な回収工事となると費用も高額です。

そこで所有者や住民が費用を出し合って、計画的に修繕していくための資金として利用されるのが修繕積立金や管理費といったものになります。

マンションの修繕を行うことは資産価値の向上につながります。また住環境の維持にも貢献し、住民の安全を守ることにも役立ちます。

積立金は各マンションにおいて計画されている長期修繕計画に則って利用されていきます。そのため積み立てていったお金が返金されることはありません。これは管理費においても同じことがいえます。

マンションを売却したら買主と日割清算

すでに支払い済みの修繕積立金や管理費が管理組合から返還されることはありません。

しかしマンションを売却した月の支払い分については、売主と買主の間で日割り清算をするのが慣習になっています。

たとえば積立金や管理費の支払いを3月31日に翌1か月分(4月分)を支払っていて、マンションの引き渡しが4月15日だったとます。

売主は本来15日までの分しか支払わなくて良いはずなので、この分については買主と日割り清算をすることになります。

引き渡しの前日までが売主負担

引き渡しの前日までを売主、引渡しの当日以降を買主とするのが一般的なので4月1日から4月14日分までを売主、4月15日から4月30日までを買主の負担として計算を行います。

一ヶ月の修繕積立金、管理費を6万円とすると…

60,000円÷30日間=2,000円/日

売主:2,000円×14日間=28,000円
買主:2,000円×16日間=32,000円

となります。

清算関連の細かい計算は仲介業者がやるのであまり心配する必要はありませんが、仲介の勘違いする可能性もゼロではないので一応知っておくと良いですね。

売主、買主の双方が納得すればなんでもいい

ここからは少し余談になってしまいますが、修繕積立金や管理費の清算方法について特別な決まりはありません。

売主と買主が納得すれば「支払った分は清算しない」と定めてもよいですし、「引き渡し付きの分は買主が全額負担する」とすることもできます。

しかし普通はそんなことをすると、不公平のためどちらからかクレームがつく可能性は高いです。

そのため仲介業者が利用する売買契約書の書式には、清算に関するルールが定められていて、「引き渡し日を持って清算をする」と記載されています。

ほぼすべての不動産業界ではこのルールに従って清算を行っているので、日割清算をする場合は、売主が前日まで買主が当日以降の負担をするのが慣習になっています。

そもそも修繕積立金とは?

修繕積立金とは区分所有者の利益となるような修繕を行うための資金です。

また建物や設備の定期的な修理、保全を行い長期間にわたる資産価値の維持に努めるための資金です。

実際の修繕は長期修繕計画にもとづき、管理組合が組織委員会を発足させます。組織委員会は工事の基本計画、費用計画などを立てます。

委員会では実際の劣化具合の調査などを専門機関に依頼します。そうして長期計画、劣化具合に応じた計画を作成していきます。

これら工事には多額な費用が発生します。そのために区分所有者から定期的に費用をあつめ積立をしておくことによって、いざというときに工事費用を賄うことができます。

しかし工事が大規模になればなるほど多額の費用がかかるため、積立金では賄いきれないケースもでてきます。

積立金だけでは足りないときは、管理組合は資金の借り入れをすることも可能で、その返済は修繕積立金によっておこないます。

主に修繕する19項目

国土交通省では修繕積立金に関するガイドラインを公表しています。ガイドラインでは修繕工事の内容として19項目を定めています。

  1. 仮設工事
  2. 屋根防水
  3. 床防水
  4. 外壁塗装等
  5. 鉄部塗装等
  6. 建具・金物等
  7. 共用内部
  8. 給水設備
  9. 排水設備
  10. ガス設備
  11. 空調・換気設備
  12. 電灯設備
  13. 情報・通信設備
  14. 消防用設備
  15. 昇降機設備
  16. 外構・附帯設備
  17. 調査・設計・監理
  18. 長期修繕計画策定
  19. 機械式駐車場

ガイドラインに掲載されている項目を参考に各マンションの状況にあった長期修繕計画が策定されます。

積立方式に注意

修繕積立金の積立方法にはいくつかの方式があります。

1、均等積立方式

均等積立方式とは将来にわたって予想される工事費を均等に割って積み立てる方法です。

長期修繕計画に則って工事が行われたときの費用を計算し、その月割分を毎月均等に積み立てていきます。

2、段階増額積立方式

段階増額積立方式とは少しづつ積立金が増額されていく積立方法です。マンションの劣化が進めば進むほど劣化が進みます。

逆に考えると初期の段階では劣化は少ないと考えられます。そのため”積立金も少なくて大丈夫”という考え方を採用した積立方式です。

新築マンションではこの方式が多く採用されています。初期の積立金が少なくて済みます。将来は積立金が増えてくるので転売を考えたときにデメリットになる可能性があります。

3、修繕積立基金

基金方式で積立金を徴収するケースもあります。購入時にまとまった積立金を徴収して修繕工事費用として利用する方法です。

その他にも積立方式は存在しています。積立金については多くのマンションで採用されているので問題ではありません。

しかし、段階増額積立方式のように積立方法によっては売却時の足かせになることも考えられますので、確認しておくことをおすすめします。

まとめ

すでに支払った分の修繕積立金や管理費は、マンションの退去時や売却時に戻ってくることはありません。

しかしマンションを引き渡した月の積立金や管理費は、マンション引き渡し日を起点にして、日割清算を行うのが慣習となっています。

日割清算の際は引き渡し日の前日までを売主、引き渡し日当日を買主の負担とするのが一般的ですが、話し合いで変更することもあります。

修繕積立金や管理費はマンションの資産価値を保つために必要な経費です。戻ってこないのは残念ですが、その分資産価値が減るのを抑えていると考えれば、合理的な方法といえます。

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