相続した不動産を売却する方法|相談先や売買の流れを解説します
不動産の所有者にはさまざまな責任や義務が発生します。不動産を相続するという事は、新たに管理や維持の責任が発生するということ。資産として所有することはできますが、負担が大きく売却する方も珍しくありません。今回は相続不動産を売却するにあったって必要な情報をご紹介いたします。
目次
不動産を相続するとどうなる?
不動産を相続すると所有権の移転が発生し、資産として不動産を所有することになります。
しかし資産が増えると同時に、不動産の所有者には維持管理の責任に加え、納税の義務も新たに発生します。
不動産を相続すると、どのような負担が増えるのか具体的にご紹介します。
不動産相続税が発生する
不動産を相続することで不動産相続税が発生します。
不動産相続税の税額は土地や建物の評価額に税率をかけて計算します。
詳しい計算方法が知りたい方は、下記で紹介しているページで詳しく解説しているのでチェックしてみてください。
基礎控除が3,000万円あるので、コンパクトな住宅やマンションであれば非課税になりますが、規模の大きい不動産を相続すると相続税の支払いが困難です。
相続税が払えなければ財産の差押えもあり得ますので、相続税対策として不動産を売却する方も多いです。
街中を歩いていると大きな土地を分譲して宅地にしている現場をみかけますが、相続した不動産の相続税がはらえずに売却した土地であることも珍しくありません。
固定資産税や都市計画税の義務が生じる
不動産を所有していると、毎年固定資産税や都市計画税が発生します。
宅地として使用していると減免措置があるため、負担が軽くなりますが、それでも毎年10数万円の税金がかかります。規模の大きい不動産であったり、宅地以外の用途の不動産ならさらに大きな負担となります。
固定資産税や都市計画税も滞納が続けば財産差し押さえの原因になってしまいます。
不動産を相続しても現金が増えるわけではないので、税金の支払いで悩む方が非常に多いのが現実です。
相続税の支払いで悩んでら、速やかに専門の税理士さんに相談するか、不動産仲介に相談するようにしましょう。
不動産の管理責任を負う
不動産の所有者は周囲に迷惑かけないように、しっかり維持管理をする必要があります。
たとえば境界線を越えて樹木の枝が隣の家に入ってしまっていたり、放火を誘発しやすい原因を放置していたり、崩れそうなを修理しなかったりすれば、万が一事件・事故になったときに責任を問われてしまいます。
自分の手でメンテナンスや補修ができる規模の不動産であれば、費用を掛けずに維持管理もできますが、規模が大きい不動産ではそうもいきません。維持管理のために出費がでてしまうのも相続不動産の悩みの一つです。
相続不動産を売却する流れ
実際に相続した不動産を売却するときの流れを確認してみましょう。
相続が完了してしまえば、所有する不動産を売却するのとほとんど違いはありません。
逆にいうと相続分を確定するまでが、相続不動産を売買するポイントといってもいいでしょう。
相続の発生・持分の確認
相続は被相続人(財産を持っていた人)が亡くなった段階で開始されます。
つまり相続人(財産を引き継ぐ人)はなにもしなくても、相続を受ける権利が発生します。極端な話ですが本人の知らない間に、疎遠になっていた親戚の相続人になっていたということも十分あり得ます。
相続が開始されたら遺産分割をするのが基本的な流れになります。
相続人が一人しかいない場合は、すべての財産が相続人のものになりますが、複数の相続人がいるときには遺産分割して持分を決定します。
持分が決定するまでは財産は相続人たちの共有財産となります。遺産分割前に相続人の一人が不動産を売却したとしても、所有権は持分以上の所有権を移転することはできません。
たとえば相続人が二人いる場合各相続人は不動産の2分の1しか売却することしかできません。
万が一、一人の相続人によってすべての所有権が移転されてしまったとしても、2分の1の所有権は抹消登記の請求をすることができます。
不動産を売り出す
遺産分割協議が終わり、すべての財産の振り分けがきまったら不動産の売却を進めていきます。
相続不動産が共有名義の場合、不動産を売却するためには共有者全員の承諾が必要になります。単独所有の不動産なら問題ありませんが、複数所有の不動産であれば事前に協議をして、売却時にトラブルが起きないようにしておきましょう。
自分の持分だけを売りたいということも可能ですし、土地を相続人の割合で分筆後に一部売却という方法も考えられます。
このあたりはマイホームを売却するときと段取りが違いますが、不動産仲介や税理士、司法書士がしっかりサポートしてくれるので、売却時に相談してみるといいでしょう。
売却するときには不動産仲介会社に相談するのが一番です。三井のリハウスや住友不動産販売といった大手の不動産仲介でもいいですし、地域密着でやっている地元の不動産仲介も販売力の強い会社があるのでまずは査定から始めてみましょう。
査定するときには不動産の一括査定が便利です。
売買契約を結ぶ
お客さんが見つかれば晴れて売買契約を結ぶことになります。
買主から手付金を受けとり、売買契約を締結しましょう。
マイホームとして利用できる不動産であれば、個人の買主となることもありますが、規模の大きく広い不動産は法人が買主になることもあります。
不動産の売り出しから契約、決済、引渡しまでは不動産仲介がサポートしてくれます。
下手な不動産仲介を選んでしまうとトラブルに巻き込まれたり、安値で売却してしまったりといいことがありません。不動産仲介選びは慎重に行うようにしましょう。
所有権の移転登記をする
契約が終了したあと1ヶ月程度で残代金の受け取りと、所有権の移転をおこなう決済があります。決済・引き渡しを持って売買が完了となります。
決済には売主も出席することになるので、相続不動産の所有者かもしくは正式な代理人が参加します。
場所は買主が利用する金融機関で行うのが一般的です。
売買代金の残代金を受領したのを確認すると、司法書士が所有権移転の登記をするために法務局に向かいます。
この時点で不動産の所有権登記がまだ亡くなった方(被相続人)のままであれば、被相続人から相続人への登記、そして相続人から買主への登記という2つの登記を同時に申請します。
およそ1週間から2週間程度で登記が完了し、登記簿に所有権が買主に移ったことが反映されます。これで売買が完全に終了したことになります。
相続不動産の売却を成功させるための相談先
相続不動産の売却を成功させるためには、専門家の力を借りるのが一番です。むしろ専門家の力がないと、実現は難しです。
とはいっても相続にはさまざまな知識が必要で、どこに相談すればいいか疑問に思ってしまうこともあります。
相続不動産の売却を考えたときの相談先をご紹介します。
遺書が残っているなら弁護士
もし被相続人の遺書が残っているのであれば、弁護士に相談するといいでしょう。
生前相続人が弁護士に遺書をあづけているケースもあるので、まずは相続人で遺書の有無を知っているものがいないか確認しましょう。
遺書が残されていた場合、それに従って遺産分割を行っていくことになりますが、遺書の意向が100%反映されるとは限りません。
弁護士を交えて、売却前の遺産分割からはじめていくようにしましょう。
財産が多く分割が大変なら税理士
遺産は不動産だけとは限りません。預貯金や株券など相続人が持っている財産すべてが遺産の対象となります。
遺産の種類が少なく素人でも分割が用意なのであれば、税理士に相談する必要はありません。
しかし、種類が多く金額も大きいなら税金対策も含めて税理士に相談するといいでしょう。
高く売るなら不動産仲介会社
不動産を売却するなら不動産仲介に相談するのが一番です。
弁護士や税理士には相続や税金の知識はあっても、売買の知識、技術はありません。
不動産をできるだけ高く、スムーズに売買する技術を持っているのは不動産の専門家である不動産仲介だけです。
遺産分割協議などが終わって持分が確定し、不動産の売却がいよいよ具体的になってきたのであれば不動産仲介への相談がベストな選択といえるでしょう。
まとめ
不動産の相続は相続人の資産が増えると同時に、維持管理責任や対象不動産の税金を納める義務が発生します。
相続が開始されたら遺産分割協議を行い、遺産の配分を決定していきましょう。遺産分割でトラブルになることは多くの方がご存知のとおりです。
当事者間での解決がむずかしそうなときは、速やかに弁護士や税理士に相談するといいでしょう。
相続不動産の売却のことについては不動産仲介への相談が一番です。相続不動産の売却は業務上めずらしいことではありませんので、信頼できる仲介会社を見つけて相談してみましょう。